熱中症のリスクを減らす!知っておくべき熱中症対策 〜スポーツ大会の運営者目線〜
(※この記事は、2023年7月11日に更新されました。)
スポーツ中など運動時の熱中症の発生リスクは、暑い時期には避けて通れない問題です。
熱中症が起きると、最悪の場合死に至るケースもあります。死亡事故に至らなくても、頭痛やめまい、臓器不全などの後遺症が残る可能性があります。
熱中症は、正しい対策に取り組めば未然に防ぐことが可能です。
水分補給やこまめな休憩など適切な熱中症対策を行うことで、熱中症を予防するだけでなく、参加者もストレスなくイベントを楽しめます。
この記事では、スポーツ大会の運営者が把握すべき熱中症の対策と対処法を詳しく解説します!
ダイアモンドスケジュールを使えば、リーグ戦の対戦表作成やスケジュール管理・共有など、手作業では時間がかかる事務作業の効率化を実現できます👍
熱中症とは?
熱中症とは、身体が暑さに適応できず体温調節機能がうまく働かなくなることで生じる病態の総称です。
通常、私たちの身体は、外部が高温になると「汗をかく」「末端の血流を活発にする」などによって体温を自動で調節します。
しかし、極端な高温の下に晒されたり健康状態が悪化したりすることで、この調節機能がうまく働かず体内に熱がこもってしまい、熱中症が発生します。
以下で、日本スポーツ協会が公開しているスポーツ活動中の熱中症予防ガイドブックを紹介しています。
熱中症について詳しく解説しているので、こちらも是非ご覧ください。
参考:公益財団法人日本スポーツ協会 スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
熱中症になるとどうなるの?
熱中症の症状はさまざまです。
初期段階では、
・めまい
・ほてり
・頭痛
・だるさ
・喉の渇き
などが見られます。
これらの症状は疲労や脱水症状と混同されがちですが、暑い環境下で発生した場合は熱中症を疑う必要があります。
さらに症状が進行すると、
・吐き気、嘔吐
・手足のけいれん
・高熱
・動悸、息切れ
などが現れ、意識障害やこんすい状態へと進行していきます。
熱中症を引き起こしやすい環境・条件
熱中症は、特定の環境・条件下で起こりやすいとされています。
急に暑くなった時
帝京大学の受診者数データによると、6月〜7月上旬にかけて熱中症患者は急増します。
梅雨の晴れ間や急激に暑くなる時期は、身体が暑さに慣れていないこともあり、体温調節がうまくいかず熱中症が起こりやすいです。
体調不良の人
風邪気味や寝不足など体調が悪い人は、体温調節機能がうまく働かず熱中症になりやすいです。
肥満傾向の人
環境省の調査データによると、学校での熱中症死亡事故の7割は肥満の人に起きています。
肥満の人は体内の熱を外部に逃がすことが困難なため、熱中症になりやすいとされています。
参考:環境省 学校現場における熱中症 (スポーツを中心にして)
子ども
子どもは大人と比べて体温調節機能が未熟のため、体温をコントロールしにくいです。
また、自分自身の体調を適切に判断し休憩を取るといった自己管理が難しいため、暑い環境でも遊び続けてしまうことがあります。
高齢者
高齢者の方は喉の渇きを感じにくいため、水分補給が遅れがちです。
さらに、暑さも自覚しにくいため、気づかぬうちに熱中症になっているケースもあります。
屋内スポーツも要注意!
熱中症は「日差しを浴びる屋外で発生する」と考える人も多いかと思います。
しかし、実は屋内スポーツにも熱中症のリスクがあります。
屋内は外と比べて空気の流れが少ないため、熱や湿気がこもりやすいです。
また、屋外と比べて日光を浴びたり汗をかいたりすることが少ないため、喉の渇きを感じにくくなります
体育館を締め切って行うバドミントンや卓球、厚手の衣服を着用する柔道や剣道などのスポーツは特に注意してください。
ダイアモンドスケジュールを使えば、総当たり戦の対戦表をたった数分で自動作成する事ができます🙆♀️
スポーツ大会の運営側ができる熱中症対策
熱中症は、正しい対策を行うことで発生や重症化を防ぐことができます。
多くの人が集まる夏季のイベントなどでは、熱中症の予防対策は必須です。
ここからは、運営側が事前に準備できる熱中症対策を紹介します。
競技者への熱中症対策・予防
スポーツ活動は、体内で大量の熱産生が行われるため熱中症が発生しやすいです。
また、大量の発汗が起こるため、脱水症状にも気を付けなければいけません。
・ 休憩時間をこまめに設ける
30分に一度程度、休憩時間を設けましょう。
その際、必ず水分補給を行うように呼びかけてください。
・ 給水所の場所を明示する
参加者がいつでも水分補給できるよう、給水所の位置を明示しておきましょう。
近年は外国人参加者の方も多くいらっしゃるので、日本語だけでなく英語や韓国語などの表記もあると親切です。
・スポーツドリンクや塩分タブレットを配布する
水の摂取だけでは塩分不足になってしまう場合があります。
給水所以外に、スポーツドリンクや塩分タブレットなども用意しておきましょう。
イベントの参加賞として配布するのも良い方法です。
・ 当日の健康状態をチェックする
イベント当日に参加者の健康状態を確認し、以下の項目に当てはまる場合は、万が一に備えて参加を断るようにしましょう。
・体調不良
・風邪気味
・微熱がある
・頭痛やめまいがする
・寝不足
・二日酔い
・極端に運動不足
観客や待機者への熱中症予防・対策
イベントの観客や待機者は、同じ場所に長時間滞在していることが多いため、汗をかかず身体に熱をためやすいです。
また、応援に気を取られて水分補給が疎かになってしまうということもあります。
・集合時刻を明示する
長時間の待機を避けるために、集合時刻、開始時刻、休憩時間、終了時間などはきちんと明示しておきましょう。
集合の際は、入場口を分散させたり整理券を配布したりして、長時間待機させない工夫を行うことも大切です。
・席確保のための待機をさせない
指定席を導入する、あらかじめエリアを決めておくなど、席を確保するための無駄な待機を避けるようにしましょう。
・日陰のエリアを作る、休憩できる場所を確保する
直射日光を避けるための遮光ネットや応援用テントを設け、待機者が休める場所を確保しましょう。
可能ならば、送風機の設置や散水を行うとなお良いです。
・売店を設置する、自動販売機の商品を切らさないようにする
待機者がすぐに商品を手に入れられるよう、ドリンクやアイス類などの売店を設置しましょう。
また、会場に自動販売機がある場合は、欠品にならないようこまめに補充を行ってください。
・うちわなどの冷却グッズを配布する
待機中の体温を下げるため、うちわやタオルなどの冷却グッズを配布するのも良いでしょう。
運営上の熱中症対策
参加者全員がイベントを楽しむためには、運営側で事前に対策や対処法のルールを決めておくことも大切です。
・救護所を設置する
緊急時に備えて、救護所は必ず設置しておきましょう。
・長時間に及ぶ開催は避ける
大会の時間が長すぎると、熱中症のリスクが増加します。
開催日を数日に分ける、参加者の時間帯を区切るなど、長時間に及ぶ開催をなるべく避けましょう。
・暑さがピークの時間帯は競技を避ける
可能ならば、日中の暑さがピークの時間帯(一般的には正午から午後3時)の開催は避けるべきです。
この時間帯は外気温が最も高くなり、熱中症になりやすい条件が揃います。
朝早く、または夕方に競技をスケジュールすることで、熱中症のリスクを軽減できます。
・緊急時のマニュアルを作成する
万が一に備え、熱中症発生時の対策マニュアルを用意しておくことは必須です。
マニュアルには、
・熱中症の初期症状の識別
・対応の手順
・救護所の位置
・救急連絡先
などを記載しておきましょう。
誰かが熱中症になった時に現場ですべき応急処置、対処法
もしも誰かが熱中症になった場合、迅速かつ正確な対処法が必要となります。
ここからは、現場ですぐにできる応急処置と対処法について解説します。
①涼しい場所に移動する
まずは、涼しい場所へ移動をします。
救護所が近くに無い場合は、影のある場所やエアコンの効いた室内など、暑さから逃れられる場所へ移動させましょう。
②意識障害の有無を確認する
次に、意識があるかどうかを確認しましょう。
熱中症では混乱や意識不明に至ることもあります。
患者の意識がはっきりしているか、話が通じるか確認し、異常があればすぐに119番に通報します。
③水分・塩分を補給する
意識がはっきりしている場合は、水分と塩分の補給を行います。
スポーツドリンクなど、塩分も一緒に摂取できるものが最適です。
ただし、意識障害や嘔吐がある場合は、無理に飲ませず救急車の到着を待ちましょう。
④救急車到着まで、体の冷却に努める
救急車が到着するまでの間は、体の冷却に努めましょう。
アイスパックや冷たいタオルなどで、首や脇の下、足の付け根など血管が表面に近い部位を冷やすと効果的です。
まとめ
今回は、スポーツ大会の運営者が知っておくべき熱中症の対策と対処法について詳しく解説しました。
最後にもう一度、運営側が事前に準備しておくべき熱中症対策を確認しておきましょう。
競技者・参加者への熱中症対策
・ 休憩時間をこまめに設ける
・ 給水所の場所を明示する
・救護所を設置する
・スポーツドリンクや塩分タブレットを配布する
・ 当日の健康状態をチェックする
観客や待機者への熱中症対策
・集合時刻を明示する
・席確保のための待機をさせない
・日陰のエリアを作る、休憩できる場所を確保する
・売店を設置する、自動販売機の商品を切らさないようにする
運営上の熱中症対策
・救護所を設置する
・長時間に及ぶ開催は避ける
・暑さがピークの時間帯は競技を避ける
・緊急時のマニュアルを作成する
スポーツ大会やリーグの運営者は、参加者や観客が安心してイベントを楽しめる環境を作る責任があります。
これらの対策を念頭に置き、全員が健康に楽しめるスポーツ大会の開催を目指しましょう!