ラグビーの「ボーナスポイント」とは? 勝ち点のルールや計算方法を徹底解説!
(※この記事は、2023年9月15日に更新されました。)
ワールドカップにおける日本代表の活躍をきっかけに、近年ラグビーは国内で人気が高まっています。
それに伴いラグビー観戦に興味を持つ人も増えていますが、なかなかラグビーのルールには馴染みがないかもしれません。
ラグビーは試合ルール自体が複雑であるうえ、リーグ戦における勝ち点の計算方法も他のスポーツと異なります。
今回は、ラグビーのルールの中でも他のスポーツとの違いが大きい「勝ち点」の計算方法とボーナスポイントについてわかりやすく解説します。
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ラグビーにおける順位の決め方
ラグビーワールドカップでは、リーグ戦方式で「プールステージ」という予選を行います。
プールステージとは、ワールドカップに参加する全20ヶ国を5ヶ国毎に4つのプールに振り分ける形式です。
プール内で総当たり戦を行い、勝ち点の多い上位2チームが決勝トーナメントに進みます。
決勝トーナメントで予選リーグを勝ち抜いた8ヶ国がシングルイリミネーション形式でトーナメント戦を行い、優勝を決めます。
予選を勝ち抜けなかったチームと決勝トーナメントで負けたチームは、その時点で敗退です。
しかし例外的に、準決勝で負けたチームは3位決定戦に回り、もう一度試合を行い3位と4位を決めます。
ワールドカップでは、ベスト12に入ると次回のワールドカップ参加資格を獲得できます。
よって、各プールで上位2チームに入れなくても3位のチームは次回大会の出場権を獲得できるので一つでも上の順位を目指すことが重要です。
プールステージでは4試合を経て獲得した勝ち点をもとに順位を決めますが、勝ち点が同じ場合は下記の順に順位を決めます。
・直接対決の勝者
・4試合の得失点差
・トライ数の差(トライ数から被トライ数を引いたもの)
・得点の合計
・トライの合計
・抽選
勝ち点の計算方法
次に勝ち点の計算方法について紹介します。
ラグビーにおける勝ち点には2種類あります。
1. 試合の勝敗によって得られる勝ち点
2. ボーナスポイント
一般的なスポーツの勝ち点は、勝敗によって得られるもののみです。
しかしラグビーは、勝敗に関わらず獲得できるボーナスポイントが存在します。
決勝トーナメント進出を目指すうえで、このボーナスポイントは非常に重要な要素となっています。
それぞれ解説します。
試合の勝敗によって得られる勝ち点
ラグビーでも他のスポーツのように、「勝ち・負け・引き分け」のそれぞれで得られる勝ち点が決まっています。
一般的なスポーツでは、下記のように勝ち点が決められていることが多いです。
勝ち:3点
負け:0点
引き分け:1点
しかし、ラグビーでは下記のように勝ち点が振り分けられています。
これは、次に説明するボーナスポイントとの兼ね合いで調整されています。
勝ち:4点
負け:0点
引き分け:2点
ただし、試合が天候不良などを理由に中止となった場合は、大会規定により引き分け扱いとなり、2点ずつ各チームが獲得できます。
以上が試合の勝敗から得られる勝ち点です。
先述したように、ラグビーには勝敗以外に勝ち点を得られる「ボーナスポイント」があります。
とはいえ、勝つことで得られる勝ち点のほうがボーナスポイントより多いため、なによりもまずは勝つことが重要です。
次はボーナスポイントについて説明します。
勝ち点の「ボーナスポイント」とは?
ボーナスポイントとは、勝敗以外の条件で獲得できる勝ち点です。
ラグビーでは「勝った時の4点」「引き分けた時の2点」以外でも勝ち点を獲得できます。
ボーナスポイントの種類と計算方法
ラグビーのボーナスポイントは2種類あります。
以下がボーナスポイントを獲得するための条件です。
1. 4トライ以上成功したら1点
2. 7点差以内の負けで1点
1の条件は、勝敗に関わらず条件を満たせば獲得できます。
2の条件は、負けたチームのみが獲得できるボーナスポイントです。
片方を満たせば1点、両方を満たせば2点を獲得できます。
勝利チームは、8点差つけてもボーナスポイントを獲得できません。
しかし、相手チームの勝ち点を1点減らせるためプールステージを有利に進めることができます。
勝敗別の得られる勝ち点
「試合に勝利した場合」「負けた場合」のそれぞれで獲得できる勝ち点を解説します。
勝利チームが得られる勝ち点
勝利チームが得られる勝ち点は4〜5点です。試合に勝ち、ボーナスポイントの「4トライ以上成功」という条件を満たすと、1試合で5点獲得できます。
また、先述したように7点より多く差をつけて勝利することで、負けたチームのボーナスポイントを1点減らせます。
勝ち:4点
4トライ以上の成功:1点
合計:5点
負けたチームが得られる勝ち点
負けたチームが獲得できる勝ち点は0〜2点です。
ボーナスポイントの条件を1つも満たさないと0点です。
しかし2つとも満たせれば、負けてしまっても引き分け時と同じ2点を獲得できます。
負け:0点
4トライ以上の成功:1点
7点差以内の負け:1点
合計:2点
引き分けたチームが得られる勝ち点
引き分けたチームの獲得できる勝ち点は2〜3点です。引き分けた場合は7点差以内の負けに該当しないので、狙えるボーナスポイントは「4トライ以上成功のみ」です。
「引き分けた時の2点」「4トライ以上の成功1点」で最大3点獲得することができます。
引き分け:2点
4トライ以上の成功:1点
合計:3点
ワールドカップのような5チーム総当たりのリーグ戦で得られる勝ち点は以下の通りです。
全勝の場合:16点〜20点
全敗の場合:0点〜8点
全引き分けの場合:8点〜12点
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ボーナスポイントを採用するメリット
ボーナスポイントはラグビー特有のルールですが、採用することでどんなメリットがあるのでしょうか。
ボーナスポイントを採用することで得られるメリットを紹介します。
積極的にトライを狙うチームが増える
ラグビーには複数の得点の取り方がありますが、やはり試合が一番盛り上がるのはトライです。
トライの成功数にボーナスポイントをつけることで、トライを積極的に狙うチームが増えるため結果として試合が盛り上がります。
実際にトーナメント方式の試合では、勝ち点やボーナスポイントは関係なく試合の勝敗のみで結果が決まるため、トライが減少する傾向にあります。
リーグ戦を盛り上げるためにも、ボーナスポイントの採用は効果的です。
【備考】ラグビーにおける得点の種類と得点方法
トライ:5点
相手チームのインゴール内またはゴールライン上にボールを地面につける(グラウディング)とトライが成立する。
コンバージョンゴール:2点
トライすると与えられるコンバージョンキック(ゴールキック)を決めるとさらに2点を追加できる。
ペナルティゴール:3点
相手が反則を犯した場合、ペナルティキックが与えられ、反則があった地点からペナルティゴールを狙うことができる。
ボールがゴールポストの間かつクロスバーの上を通れば得点が認められる。
ドロップゴール:3点
プレー中にボールをワンバウンドさせてから蹴るドロップキックでドロップゴールを狙うことができる。
ボールがゴールポストの間かつクロスバーの上を通れば得点が認められる。
負けてしまっても勝ち点を獲得できる
先述したように、ボーナスポイントは勝敗に関わらず獲得チャンスがあります。
負けたチームでも、最大で勝ち点2点を獲得できます。これは引き分けた時の勝ち点と同じです。
そのため、負けが続いているチームでも、最後まで上位入賞を諦めずにリーグ戦へ臨むことができます。
このようにボーナスポイントがあることで、負けが続いても勝ち点を獲得できるのでリーグ戦が最後まで面白くなります。
最後まで試合が白熱する
一般的に他のスポーツでは、試合で大差がついた場合、勝っているチームも負けているチームも主力の選手を休ませたり若い選手に経験を積ませたりします。
しかし、ラグビーの場合はボーナスポイントがあるため、勝っているチームも負けているチームも最後まで集中して試合に取り組むことが期待できるでしょう。
筆者である私もスポーツ観戦が趣味で、時々バスケットボールや野球観戦を行います。
その際、点差が開いてしまうと消化試合感が強くなり、試合に面白みが欠けることがあります。
そのため、ボーナスポイントのように最後まで白熱した試合を作れる仕組みは画期的だと感じました。
その他の「ボーナスポイント」
今回はワールドカップでも採用されているボーナスポイントの制度について説明しました。
中には上記と異なるボーナスポイントを採用している大会もあります。
日本のラグビートップリーグである「ジャパンラグビーリーグワン」では、以下のボーナスポイント獲得条件を設定しています。
1. 3トライ差以上をつけて勝利したチームに1点
2. 7点差以内で負けたチームに1点
一定のトライ数の成功ではなく「トライ数の差」をボーナスポイントの条件とすることで、より最後まで試合を盛り上げることができます。
このように、ラグビーは地域や年代によって少しずつ採用されるルールが異なります。
これは、どの大会も試合が公平かつ盛り上がるようにルールの改善を進めているからです。
ラグビーのルールの変遷を追えば、より一層ラグビー観戦を楽しめるでしょう。
まとめ
今回は、ラグビーのリーグ戦における勝ち点の計算方法やボーナスポイントついて解説しました。
ラグビーの勝ち点は勝敗とボーナスポイントで計算されます。
勝敗から得られる勝ち点はこちらです。
勝ち:4点
負け:0点
引き分け:2点
ボーナスポイントとして得られる勝ち点はこちらです。
1. 4トライ以上成功したら1点
2. 7点差以内の負けで1点
ボーナスポイントを採用することで、トライ数が増えたり最後まで試合が白熱したりとさまざまなメリットが得られます。
ラグビーのルールは複雑ですが、プールステージやリーグ戦の仕組みを理解することでより楽しく試合を観戦することができます。
次に試合を観る時は、試合結果や得点だけでなく、各チームのトライ数や試合毎の点差まで意識してみてはいかがでしょうか。