ダブルヘッダーとは?意味や過去の事例などリーグ運営者目線で解説!
(※この記事は、2023年7月28日に更新されました。)
スポーツイベントの運営に興味のある方、実際にスポーツリーグを運営している方で
「選手に負担のかからない日程にしたい」
「1日2試合ずつ開催したい...けど組み合わせの条件が難しい」
など悩みをお持ちの方はいらっしゃいませんか?
本記事では、スポーツをしていると何かと耳にする事がある「ダブルヘッダー」という言葉について解説するとともに、リーグ戦の対戦表作成に便利なツールも紹介していますので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
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1. ダブルヘッダーとは
初めに、ダブルヘッダーという言葉の意味、ダブルヘッダーの語源について解説します。
ダブルヘッダーとは、野球の試合において同じ日に連続で2試合開催することを指します。
もう少し詳しく説明すると、特定のチームがホーム球場において同じ相手と連続で主催試合を行うことを「ダブルヘッダー」と呼び、第1試合と第2試合で相手方チームが変わる場合は「変則ダブルヘッダー」と呼ばれます。
ダブルヘッダーの語源
そもそも、なぜダブルヘッダーという言葉が使われるようになったのでしょうか?
1900年代、まだ車も飛行機も普及していなかったアメリカでは、重たい貨物を輸送する際に2つの蒸気機関車で引っ張り運んでいました。
この2つの機関車のことを人々は「ダブルヘッダー(double header)」と呼んでいたのです。
当時、アメリカ人にとって既に人気の娯楽だった野球においても、いつしかこの言葉が使われるようになり、ダブルヘッダーは野球用語として定着したのです。
主に野球界で使われることが多い言葉ですが、野球だけでなく、テニスやサッカーなど他のスポーツでもダブルヘッダーという言葉は使われることがあるので、後ほど紹介したいと思います。
2. ダブルヘッダー 〜野球編〜
日本のプロ野球(NPB)では1998年以降ダブルヘッダーは一度も行われていません。
一方、アメリカのメジャーリーグ(MLB)では今でもダブルヘッダーが行われています。
2022年シーズンはおよそ70回ダブルヘッダーが行われました。
ロサンゼルス・エンゼルスに所属する大谷翔平がダブルヘッダー第1試合は先発投手&指名打者で、続く第2試合では指名打者で出場した事もありました。
番外編:大谷翔平がダブルヘッダーで異次元の活躍!
2023年7月28日に行われた、デトロイト・タイガース対ロサンゼルス・エンゼルスのダブルヘッダーで大谷翔平が球史に残る衝撃的な活躍をみせました。
第1試合に先発投手&指名打者で出場した大谷は、初回から素晴らしい投球を披露し、終わってみれば9回を111球、8奪三振、1被安打、3四球の内容で投げ切り、今季9勝目はメジャーでは自身初の完封&完投勝利で収めました。
第2試合にも、指名打者として出場した大谷は、第2打席でレフトに今シーズン第37号となるなる2ランホームランを放つと、さらに続く第3打席で今度はライトに2打席連発となる38号ソロホームランを放ちました。
「ダブルヘッダー1試合目で完封勝利、2試合目で本塁打」は史上初の快挙で、まさに球史に残る伝説の1日となりました。
(引用:Have a day, Shohei. Ohtani throws a shutout and HITS 2 HR! (Doubleheader highlights)
さて、日米でダブルヘッダーの扱いに大きな違いが生じるのには理由があります。いくつかポイントに分けて説明していきます。
試合数の違い
まずは、試合数の違いです。
2023年シーズンの日米それぞれのリーグの試合数は以下の通りです。
プロ野球(日本):143試合
メジャーリーグ(アメリカ):162試合
シーズンが約6ヶ月間なので、メジャーリーグは単純計算で1ヶ月あたり27試合消化することになります。
シーズン中は天候不良などにより試合が中止・順延となることも多々ある中、日米どちらも、ほぼ同じ時期に開幕し、シーズンを終えます。
そうなると、メジャーリーグであれだけの数のダブルヘッダーが行われるのも無理はありません。
移動距離の違い
日本とアメリカで大きく異なるのが移動距離です。
日本の約26倍と広大な面積を誇るアメリカですが、それゆえ移動も過酷なものとなっています。
東海岸のニューヨークで試合を行った次の日、直線距離で約4000キロ離れている西海岸のロサンゼルスで試合を行うなんて事もよくあります。
MLBが運営するデータサイト「Baseball Savant」によると、2022年シーズン、メジャーリーグ全30球団の中で最も移動距離が長かったのはシアトル・マリナーズです。
年間の移動距離は74,000kmを超えていて、これは地球2周弱相当の距離を1シーズンで移動している計算になります。
球場の違い
続いて日米の球場の違いについてです。
日本のプロ野球でダブルヘッダーが行われなくなった理由として、天候に左右されないドーム球場の増加が挙げられます。
現在、全12球団の内、6球団がドーム球場を本拠地としています。
以前は当たり前のようにダブルヘッダーが行われていましたが、1980年代以降、ドーム球場の増加や交通網の発達などいろいろな条件が重なり、ダブルヘッダーは減少していきました。
一方、メジャーリーグでは全30球団の内、ドーム球場を本拠地とする球団は2球団だけで、開閉式屋根を備えた球場を使用している球団を含めても8球団しかありません。
ただでさえ移動距離が長いうえに、試合数も多いため振替試合を何ヶ月も先延ばしにするわけにはいかず、雨天順延となった翌日にダブルヘッダーが組まれることもしばしばあります。
3. 「10.19」
1988年10月19日、川崎球場で行われた近鉄バファローズ対ロッテオリオンズのダブルヘッダーは、近鉄が2連勝すれば近鉄の優勝、1回でも引き分けるか負けると西武ライオンズの優勝が決定するという状況で行われました。
第1試合は近鉄が接戦の末に勝利し、迎えた第2試合は延長戦にもつれる大接戦となりました。
当時、「延長戦は試合開始から4時間経過した場合、そのイニングをもって打ち切り」という規定があり、この試合は延長戦に突入した時点で既に試合開始から3時間半を超え4時間に迫っていました。
優勝するには得点するしかない近鉄でしたが、10回表を無得点で終え、この時点で試合開始から3時間57分。
10回裏を無失点で抑えましたが試合時間は4時間を超え規定により引き分けとなりました。
近鉄が引き分けた事により、西武の優勝が決まったこの「10.19」は伝説のダブルヘッダーとして今もなお語り継がれています。
(引用:阿波野秀幸が思い出す、近鉄10.19の死闘とダブルヘッダー)
この「10.19」で優勝を逃した近鉄は、翌1989年も西武、さらにはオリックスブレーブスと熾烈な優勝争いを繰り広げ、10月12日には前年優勝の西武とダブルヘッダーでの直接対決が実現。
この直接対決で2連勝した近鉄は、続く福岡ダイエーホークス戦にも勝利しリーグ優勝を果たしました。
4. 幻のダブルヘッダー!?
日本のプロ野球で最後に開催されたダブルヘッダーは、1998年10月10日に行われた横浜ベイスターズ対中日ドラゴンズ戦です。
しかし、それ以降一度だけダブルヘッダーが組まれた事がありました。
2007年9月30日、横浜ベイスターズ対東京ヤクルトスワローズ戦はダブルヘッダーが組まれていましたが、当日まさかの雨天中止。
試合は後日1試合ずつ行われ、9年ぶりのダブルヘッダーは幻となりました。
最近でも、新型コロナウイルスなどの影響でダブルヘッダーの開催が検討されたこともありましたが、ダブルヘッダーに対して慎重な意見もあり、開催には至りませんでした。
それだけ、ダブルヘッターはプロ野球選手にとって過酷なものなのです。
5. 1日に3試合!?まさかのトリプルヘッダー!
メジャーリーグでは過去に3度トリプルヘッダーが行われた事があります。
最後のトリプルヘッダーが1920年10月2日なので、過去3度いずれも100年以上前の出来事ですが、1日で同じチームが3試合プレーした事実があるだけでも驚きですね!
ちなみに、現在トリプルヘッダーはアメリカ合衆国の労働禁止法により禁じられているようです。
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6. ダブルヘッダー 〜野球以外の競技編〜
テニスにおけるダブルヘッダー
テニスにおいても、野球と同じく天候不良などで同じ選手が1日2試合するケースがあります。
元世界ランク1位のA.マレーが2015年のエイゴン選手権で、準決勝に勝利した後、ロッカールームで2時間の休憩を挟んで臨んだ決勝戦にも勝利し、優勝を果たすなんてこともありました。
また、テニス界では同じ選手が1日で、シングルスとダブルス両方の試合をこなす事もダブルヘッダーと言います。
東京五輪で錦織圭がシングルス3回戦とダブルス準々決勝を同じ日に戦ったのがこの例です。
サッカーにおけるダブルヘッダー
サッカーの場合、野球やテニスとは少し違った意味合いでダブルヘッダーという言葉が使われます。
まずは、サッカーのダブルヘッダーの例を一つ紹介します。
2023年4月29日、ノエビアスタジアム神戸では、男子サッカー・J1リーグのヴィッセル神戸対湘南ベルマーレの試合が午後2時から行われる予定ですが、その試合後、同会場で午後7時から女子サッカー・WEリーグのINAC神戸レオネッサ対マイナビ仙台レディース戦が開催されることも決まっています。
このように、サッカー界では同じ日に同じ会場で2試合開催されることをダブルヘッダーと呼んでいます。
ちなみに、J1リーグとWEリーグのダブルヘッダーは史上初の試みです。
7. ダブルヘッダーの弊害
ダブルヘッダーを行うとどうしても選手に対する負担が大きくなってしまいます。
メジャーリーグでは、過密日程による選手への負担を考慮して一時期7イニング制のダブルヘッダーが導入されていましたが、現在は本来の9イニング制のダブルヘッダーに戻っています。
また、日本の独立リーグ、BCリーグ(ベースボールチャレンジリーグ)では、昨年の8月から7イニング制ダブルヘッダーが導入されました。
そして、少年野球でもダブルヘッダーが当たり前のように行われているのが現状です。
今後、選手への負担を少しでも減らすためのスケジュール管理も、運営者側にとっては課題となるのではないでしょうか。
とは言っても、限られた日数の中でいろいろな条件を考慮しながらリーグ戦のスケジュールを決めるのは難しいことです。
また、スポーツによって試合頻度や試合時間、移動の有無など条件も異なります。
ここからは、それらの条件を考慮しつつ自動でリーグ戦の対戦表を作成できるツール「ダイアモンドスケジュール」について紹介します。
8. シンプルかつスピーディー!公平な対戦表を作成するツール
ダイアモンドスケジュールは、1998年に誕生した世界トップレベルのスポーツリーグスケジュール管理ソフトウェアです。
ダイアモンドスケジュールを使えば、試合日程や時間帯、移動距離、ホーム&アウェイ、休息日など、それぞれのニーズに合わせた条件のもと、リーグ戦の対戦表を数分で自動作成する事ができるので、柔軟なスケジューリングが可能になります。
例えば、
1日に複数試合ずつ開催したい
選手への負担を減らすためダブルヘッダーは避けたい
など条件に合わせて試合数をコントロールすることも可能です。
また、ダブルブッキングを防ぐ機能や、スケジュールのバランスを考慮しチーム間の公平性を保つ機能なども備わっています。
詳しい使い方については、過去のブログで紹介していますので、そちらをぜひご覧ください!
9. まとめ
今回は、ダブルヘッダーのあれこれについて解説しました。
今シーズンのメジャーリーグでは、もう既に数試合のダブルヘッダーが行われることが確定しています。
今後、さらにその数が増える可能性も大いにあります。
メジャーリーグをご覧になる際は、ダブルヘッダーという言葉にも注目してみてください。
そして、最後にはダイアモンドスケジュールについても紹介しました。
一部の機能は無料で使えますので、是非お試しください!
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